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最高裁判所第二小法廷 昭和41年(オ)496号 判決

上告人 石井省三

右訴訟代理人弁護士 須賀利雄

被上告人 小沢喜一

被上告人 小林光子

被上告人 立田まさ子

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人須賀利雄の上告理由について。

本件記録を検討すると、上告人主張の本件貸金の事実を認めるに足りる証拠がないとし、その点につき詳細判断説示する原判決の認定は、その挙示する証拠関係、事実関係、並びに本件記録に徴し、肯認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は、原審の認定にそわない事実を主張し、独自の見解に立って、適法になされた原審の証拠の取捨判断、事実の認定を非難するに帰し、採るを得ない。〈省略〉

(裁判長裁判官 奥野健一 裁判官 草鹿浅之介 裁判官 城戸芳彦 裁判官 石田和外 裁判官 色川幸太郎)

上告代理人須賀利雄の上告理由

原判決は経験則及採証違反をおかし更に審理不尽の違法がある。

原判決は上告人(被控訴人)が被上告人等の亡父小沢浅芳に対し上告人主張にかかる金員(昭和三十三年五月に金五拾万円也及昭和三十三年十一月二十五日に金五拾万円也合計百万円也)を貸与の有無につき左の如き疑問を投げかけ之を否定する態度に出ている。

(一) 原判決は特に上告人(被控訴人)は当時京成電鉄稲毛駅長として月収三万円位で間借り生活をしているものが五拾万円など大金を所有していることは疑わしい。そしてその金を無利息で弁済期も定めないで担保も証書もなく他人に貸与することは考へられないという。果してそうであろうか。〈以下省略〉

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